「葉山さんは先約だから、ごめんね」
如月くんが真城さんの手をどかし、私の手を掴んだ。
「行こ、葉山さん」
そしてそのまま、教室から飛び出した。
如月くん、普通の男の子なら私なんかより真城さんを優先するよ
だけど、如月くんと居ると不思議に心が軽くなる。
今日会ったばかりなのに。
如月くんに連れてこられたのは、100円ショップだった。
「葉山さんノートに色々書いてるけどさ、それだと勿体ないなって思って。ホワイトボード、どうかなって。」
確かに10年以上も筆談で話しているから、ノートはもう数え切れないほど積み重なっている。
「これなら書いてもすぐ消せるし、かさばらないかなって。
あ、でも読み返し出来ないか!」



