「皆さん卒業本当におめでとう。」



こうして終わった高校の卒業式。



連日の雨で桜は校庭に咲いていない。空も完全に晴れているわけではない。

まるで、眞美の気持ちを表したかのように。




なんだかんだカーストの底辺あたりで過ごしてきた3年間ではあったが、クラスの友達や部活のメンバーとは離れがたい。

きっと、もうこれ以上楽しい学生生活なんて、訪れない気がして。

このまま今日が終わったら、一生皆に会わない気がして。

平然を装って友達と話しているけれど、心の奥底では叫び声を上げて泣いている。



教室でホームルームが終わると、高校生として最後の日を一緒に過ごすため、部活のメンバーと合流する。


眞美もその1人で、昇降口の前で卓球部員達と合流した。とは言っても、卓球部は眞美以外に女子部員はいない。

それでも、自分と最後まで仲良くしてくれた男子部員達に感謝をしていた。

特に仲の良かった男子5人と輪になって、いつも通り言葉を交わす。



卒業したら彼らにはきっと会うはずもない。しかし、眞美に高校生としての楽しさを1番教えてくれたのは紛れもなく彼らだ。もう会いたくないなんて、思うはずもない。


そんなことを考えて泣きそうになっていると、たまたま近くを通った親友と目が合う。心を紛らわせるように話そうとはするが、うっすら涙を流してしまう。


その様子を見た親友は楽しんでおいでと、彼女の所属していた部活の方へ走って行ってしまう。




「何泣いてんのー?」

振り向くと、卓球部の男子5人。
まるで一生の別れじゃないか、と眞美の方を見て5人は笑った。

こんなもん、一生の別れと同じだよ。

心の中で眞美は号泣しながら呟く。