「何?どうしたの?」

首を傾げるその仕草も、不思議そうにするその表情も、変わらず大切そうに宝物を持つ手も、全てが愛おしい。

「ジェニィ!」

ピーターは我慢できず、ジェニィを抱き締めていた。ジェニィは「はっ?ちょ、ちょっと!」とピーターを押し返そうとするが、ピーターは離すことなくジェニィを抱き締め続ける。

ジェニィの体はとても温かく、柔らかい。どんな宝物に触れた時よりも、ピーターの心臓は高鳴っている。

「ねえ、その瞳は、心は、いつ僕のものになるの?」

ジェニィを抱き締めながらピーターは耳元で話す。ジェニィは「んんっ…。くすぐったい……」と恥ずかしそうに言い、ピーターの抱き締める力が強くなる。

「貴女を僕のモノにしていいですか?もう止められそうにない……」

ピーターはそう言い、ジェニィを離す。ピーターの顔だけでなくジェニィの顔も真っ赤だ。怪盗と依頼人という関係になってからピーターは色んなジェニィの顔を見てきた。しかし、こんな顔を見るのは初めてだ。