「…ちょっと寝かせろ」
会長はそれだけ言って、目を閉じる。
柔らかな甘い香りが、私にじわじわとしみ込んできて困る。
しかも、近い。
近距離に、陶器みたいに滑らかな肌と長い睫毛があって。
目のやり場にも、困る…。
かちんこちんになりながら会長に肩を貸していると、1分と経たずに寝息が聞こえてきて。
横目で盗み見ると会長は本当に眠っている。
…本当に、よく寝る。
こんなところ見られたら、ファンクラブの人たちに殺されるんじゃないかな。
そう思って身震いするけど。
この穏やかな寝顔を邪魔することが、なぜか私にはできそうになかった。


