なんの話をしているのか分からないけど、悪い人たちじゃないのかもしれない。
そんなふうに思った時、生徒会室のドアが開いて会長が帰ってきた。
片手にはナイロン袋。
…この人についてはまだ、油断できないけど。
私は気を引き締めなおす。
「とーる、聞いて聞いて」
「なに、流奈はちゃんと反省してたの」
「してたごめん、それより聞いて」
「それよりってなんだよ…」
不機嫌そうに言って、私の横の席にどかっと座る。
今朝憶えたばかりの柔らかな香りが、ふわっと広がった。
「あのね、未来ちんさっき超笑ってくれたの、未来ちんやっぱ超可愛いわ」
ちょっとちょっと、流奈さんなに言ってんの?
そんな報告するようなことじゃないからやめて…。
そう思って、俯くと。
「知ってる」
会長は、さらっとそんなことを。
な、に言ってんのこの人も…?
私は思わずばっと顔を上げて、会長を見る。