「…俺、ずっと桜田(さくらだ)さんのこと、好きで」


横山先輩は言って、真剣な眼差しで私を見た。



「よかったら俺と、付き合ってくれない?」


聞き慣れた展開に、聞き慣れた台詞。


そして私は、言い慣れた台詞を言う。


傷つくと分かっていても。



「横山先輩は…私のどこが好きなんですか?」



横山先輩は少しはにかんで言った。


「すごい可愛いのに、クールそうな感じがいいなって」


私は小さく頷いて、それから横山先輩を見つめる。

…他には?という意味をこめて。


意味を汲んでくれたのか、横山先輩は慌ててなにか言おうとする。


言おうとするけど、そう。



大抵の人はもうここで、次の言葉が出てこない。