会長はバランスを崩しながらも、私の身体を受け止め、ひょいと自分の膝に乗せる。
ぎゅうと抱きつくと、柔らかく抱きしめかえされて。
会長は、私の耳元に顔を寄せた。
「俺の女になれ」
私はばっと、顔を離して会長の顔を見上げる。
「もう、いいの?」
「いいから呼んだ」
「本当に、大丈夫なの?」
少しのあいだ止まっていた涙が、じわじわとまた戻ってくる。
「私、もっと、もっと先だって…」
「アホか。俺を誰だと思ってんだ」
呆れたように息をついて、私の髪を耳に掛ける。
「大変、でしたか…?」
「まー1人ずつ話して回ったからな。親父には1カ月かかった。…喜べお前は有名人だ」
会長は飄々と言って、掬うように唇にキスをする。
不意打ちに真っ赤になる私を見て、ふふんと笑う、会長の頬はまた少しシャープになっていて。
通った鼻と、鋭い瞳が、目立って。


