「未来ちんが1年生の時も、とーるは未来ちんを見てたよ」



……嘘。



……嘘?



でも。




――『去年か』


――『未来は、校庭で法被着て、屋台出してたな』



そう言った、横顔。



…嘘じゃ、ない。




「とーるは1年間迷って、それでも、未来ちんが欲しくて、ああしたんだよ」




――『なんで知ってるんですか』

――『そりゃー生徒会長だから』




そう笑った、横顔。



…嘘つき。



嘘つき。



「とーるは普通じゃないから。自分で選ぶものは、全部自分で守らなきゃいけないから。恋だって、簡単じゃない。選ばれることばかりで、選ぶことなんて少ない人生なんだよ。…ましてや女の子を選ぶなんて…。だから流奈もそーすけも、協力するって、決めたの」




思い出す、あの春の日。