それなのに。
いつもの曲がり角。
もう少ししたら、家に帰れる。
それなのに。
「未来」
……なんで、いるの……。
いつもの場所で、会長が、私を待ってる。
「会長、なんで」
泣いちゃだめ。
私の歩みは、ぴったり会長の前で止まってしまう。
絶対に泣かない。
「なんでってこっちの台詞…」
電灯に照らされたあまりに綺麗な顔が、困惑したように私を見つめて。
「なんで電話でねーんだよ。心配するだろうが」
私の頭にぽんと乗せられる、手。
何度、何度この手が私に触れただろう。
この、あたたかな手が。
言葉が、出ない。


