くいくい、と、スカートの裾を引っ張られて、見ると小さな男の子と女の子が私を見上げていた。
「おねーちゃん、まっくろ…」
「なんでくろいの?」
小学1年生くらいだろうか、小さな手を繋ぎ合っているのが愛らしい。
私はにっこり微笑んでしゃがみこむ。
恐がらせたりしないか心配になりながら。
「これはねー。くろこ、っていうんだよ」
「くろこ?」
「くろこってなにするの?」
聞かれて、私はうーんと首を捻る。
「えっとね、劇をする時にね、ステージの上の物を、あんまり目立たないように運んだりする人」
「わきやくってこと?」
「うーん、脇役、でもないかな。どっちかっていうと、裏方」
「うらかた?」
「おねーちゃんは、じゃあ、劇に出るの?」
「んーん、出ないよ」
「じゃあなんでくろこなの?」
うーん、どう説明したものか…。
うまく説明できなくて困っていると。


