「お弁当、食べますか?」


つっけんどんに聞いてくるので、俺は笑う。

こういうところも、可愛くて堪らないのだ。


「俺の分もあるんだろ」

「ありません」

「1人用?でかくね?」

「…食べたいですか?」

「早く食わせろ」


言うと、未来は困ったような笑顔を見せた。


「未来を」

「お弁当を!」


いつもの調子に戻った未来は少し怒って、俺は少し笑って、用具庫を出た。



そんなこんなで。

俺の高校生活最後の夏休みと体育祭の思い出は、やっぱりこの女で埋めつくされ
た。


楽しかったかどうか、なんて、言うまでもない。