俺の夏休みなんて、そんなくだらない話、未来にしたって仕方ない。


親父に付き合って色んな会社をうろちょろしただけだ。


着たくもないスーツを着て。

したくもない話をして。


「…未来の持ってきたアイス食って、未来とちょっとやらしいキスしたかな」


あの時の未来の可愛さを思い出しながらそう言ってみると、未来は顔を真っ赤にしながらも、


「そ、そうじゃなくて…」


誤魔化されない、というように言うので。


「それだけ」

俺は囁いて。


「それだけで、俺は十分。楽しい夏休みだった」


言うと、未来は目を丸くしてから、ふん、と顔を背ける。


なぜかやっぱり少し、泣きそうな瞳で。