「…知らないから。夏休み、会長がどんなふうに過ごしてたか」


なんだそれ。


抱きよせてキスをしたい衝動がこみ上げるのを、ぐっと堪えて。


「…知りたいの?」


そんなことを聞く。

喉が少し、震える。


イエスなんて期待しない。

それなのに。


「知りたいから、聞いてます」


伏せていた目を上げて、俺を見上げて未来が言うから。


やっぱり堪えきれずに、唇に触れてしまう。


「……、」


触れるだけのキスで、こんなにくらくらしてどうする俺。


ゆっくり唇を離すと、息を止めていたらしい未来は顔を真っ赤にした。


あまりに可愛くて、ふ、と笑ってしまう。


不服そうに俺を睨む未来の、頭を撫でながら、

「夏休みはそうだな…」

呟く。