俺はそれに安心して、思わず少し笑ってしまう。
「なんで笑うんですか」
「別に。早く食うぞ」
それでも未来は、またドアの方を向く。
なんか前にも、こういうことあったな。
未来がドアから出ていこうとして、俺が後ろからそれを止めて。
春、未来がはじめて、生徒会室に来た時。
あの時未来は、振り返らずに生徒会室を出ていった。
俺は握ったままの未来の手を軽く引っ張る。
…こっち向けよ。
心の中でそう言って。
すると未来は、俺の手の力に容易く従って身体ごと俺の方を向いた。
じっと俺を見る未来の顔が、なぜか寂し気で。
「…どうしたんだよ」
薄暗い用具庫の中で見つめ合う、俺と未来のあいだには数センチしか距離がない。


