「かいちょ…」


少し唇が離れた隙に、呼ぶとまたすぐに唇をすくわれて。


「未来、舌だせ」


キスの合間に、そう囁かれる。


私の意思とは関係なく、会長の熱い舌に誘われるように舌が伸びる。


ストロベリーの味が、熱とともに、私の口内に広がって。

身体がぞわぞわして。


「も、むり…」


限界、と、会長の胸を両手でそっと押すと、ようやく唇は解放された。


ぜーはーと呼吸をしながら真っ赤になって放心する私をよそに、会長はテーブルのアイスを手に取って。


「これが、風邪うつるキスな」


平然と言って、少し溶けたアイスを食べた。



もっと、聞きたこととか、言いたいこととか、沢山あった気がしてたのに、私はもうそれ以上まともに話すことができなくて。


その日の夜、私は風邪か知恵熱か、分からない熱を出した。