「いやいやいやいや…」
私の右隣に並んで歩きだしたきょうちゃんが、苦笑いして手を振る。
「あの副会長が全校生徒の前で人違いなんてするとは思えないなぁ」
私の左隣で呑気に言う森川をきっと睨むと、森川は、
「ごめんごめん」
と両手を挙げた。
「…私、行きませんからね。絶対、人違いだし。心当たりないし」
そう呟く。
歩けば歩くほど、注目されていくのが分かる。
…最悪だ。
どうしよう。
「とりあえず…トイレ行ってきます」
私は2人に力なく言って、駆け足で体育館を出た。
…逃げよう。
そう思っていた。
どこに?
人気のないところ…、そうだ、さっきの裏庭。
あそこにしばらく逃げていよう。
2限がはじまる直前までそこで隠れて、ほとぼとりが覚めたら教室に帰ろう。
…たぶん絶対、人違いだし


