「御曹司って言われてるの、本当なの。でーかい商社の社長の一人息子」
終業式の日の、あの男たちの言葉を思い出した。
――『学校に莫大な寄付を寄せる大企業社長の一人息子!先生も文句は言えねえよなー』
――『つーかそもそも、コネ入学らしいし』
私は黙って、流奈さんの言葉を待つ。
「お父様と一緒に、グループ会社とか協力会社に挨拶まわりとか、行ってんじゃないかな」
「え、でも…まだ高校生ですよね?」
「お付き合い。大事なのだよ、あーいう世界では」
全然、かみ砕けないまま頷く。
「流奈もそーすけもね、1回くらいは家に、反発したことあるんだよ。でも、とーるは1回もないんじゃいかな。まあ、流奈たちとは家の規模が違うっていうのもあるけど」
「お前のはただの反抗期だろう」
副会長が横槍を入れると、流奈さんがあはははと笑う。


