「お皿、私が一緒に持ってくから置いといていいよ」


食器を片付けようとするので、そう言うと、赤いリップを塗った唇をきゅっと持ち上げてお母さんは笑った。


「ありがと。本当、バイト、無理しちゃだめよ?」

「分かってる」

「ちゃんと勉強もするのよ?」

「うん。シフトだって、毎日毎日入れてもらえるわけじゃないし」


お母さんは少し安心したように微笑んで、

「まったく未来は、誰に似たんだろうね」


小さくそれだけ呟いて、いってきまーすと元気よく出ていった。


私はテーブルの上で頬杖をついて、


「お母さんに決まってるじゃん」


そう、ひとりごちた。