「あの子って?」

「ほら、あのすんごいイケメンの、金髪の…あ、最近黒くなった。モデルみたいな子」


今度はコーヒーを吹きそうになる。


「学校あった時は、毎朝迎えにきてたじゃん、曲がり角のとこ。あの子、未来のこと待ってたんじゃないの?」

「…そうだけど、彼氏じゃない」

「はーん、彼氏じゃない男に毎朝迎えにこさせるって、あんたさすが私の娘だね」


にやりと笑って言われて、私はどん、とマグカップをテーブルに置いた。


「お母さん、時間」

「やだ恐い子」


お母さんはそう言って、バタバタと出かける準備をはじめる。