ざあざあ降りしきる雨音の中で、会長の香りがふんわり近くなって胸を締めつけた。
…距離、近いの、避けたい。
そう、本能的に思っている自分がいて。
でも、会長になぜか抗えなくて。
大人しく、会長がさしてくれる傘の中を歩きはじめる。
私の肩が、会長の腕あたりに触れる、距離。
「ありがとうございます」
「別に」
それから会長はなにも言わない。
雨の中を歩きながら、私は思いきって言った。
「…会長は、試験、余裕なんですか?」
「余裕だけど」
…ですよね。
それにしてもさらっと言うなぁ。
世の受験生が聞いたら、嫉妬するよ。


