「えーまず、新入生のみなさん、入学おめでとうございます。昨年から海西高校の生徒会長をしています、神崎透です」
マイクを通して聞こえるのは、低いけど聞きとりやすい、どこか艶のある声。
瞬間、さざ波のように黄色い声が寄せて、すぐに次の言葉を待つために引いていく。
もはや、阿吽の呼吸。
ここってアリーナかなんかだっけ?
「新入生も入学して、校庭の桜も満開の春です」
会長は続ける。
それにしても、確かに綺麗な人だと思う。
すらっと高い背に、鮮やかな金髪。
女の子みたいに綺麗な肌と、薄い唇。
くっきりとした二重にかかる、長い睫毛。
見た人すべてに「儚げ」といワードを思い起こさせる、相当なレベルのイケメンだ。
「春は…、春は、そうだな、花粉症がきつい」
ちょっと、変わってるけど。
先生たちのため息が聞こえる。
「えー、花粉症の人?」
右手をゆったり挙げて全校生徒に問いかける、生徒会長。
ちょっと、じゃないな、かなり、変わってる。


