前、裏庭で会長の寝顔を見た時、その時は、金色の髪だった。
――『でも、会長あれ地毛だったのに、なんで黒染めしたんだろ?』
前にこそこそと誰かが言っていた言葉を、思い出す。
…私の、せいなんだよね、きっと。
綺麗な、色だった。
お父さんかお母さんが、外国の人なのかな。
――『ようやく俺に興味出てきた?』
会長に言われた心外な言葉を思い出して、私は首を横に振る。
だめだ、近すぎて、変なこと考えてる。
忘れよう。
「未来ちん、これ食べる―?」
流奈さんが後ろの席から乗りだして、ポッキーの箱を向けてくれた。
「あ、ありがとうございます」
私がそっと首を動かして、声を潜めて言うと。
「あ、とーる、寝てるじゃん」
流奈さんは、優しい顔で微笑んで呟いた。
「疲れてんだなあ」
こういう時、流奈さんにとっては会長も大切な存在なんだな、と思う。


