その日から僕たちを繋ぐものは、50円ぽっちの切手になった。


 手紙。夏希が暮らす真っ白な部屋の中には、電話なんてあるはずがないからだ。


 不器用に文字を編み、完成した手紙をポストに放り込んだのは二日後。驚くべきことに、その翌日には夏樹からの手紙が届いたのだ。


 随分と早いなと僕は郵便局の仕事に感銘を受け、すぐに封を切る。


 至極当然のことだが、そこには確かに夏希の文字がきめ細かにつづられているではないか。


 今の状況とこれからの事。また病院暮らしが長くなりそうだと、彼女の嘆きが文字からも伝わってくる。


 どうでもいいが僕の手紙のことが一切触れられていなかったので、その日はかなり早くに布団に潜った。


 ……手紙が入れ違いになっていたことは、言うまでもない。