『…?どうしたのよ、何か困ったことでもあったの?良かったら…話して。いつでも相談に乗るよ』


しばらく黙っている大智。


そして、顔を上げて言ったんだ。


『高校時代ってさ、お前…好きなやついた?』


って。


いきなりの質問にちょっと驚きつつも…


私は、昔を思い出しながら、ゆっくり答えた。


『そ、そんな話し?あ…えと…正直、いなかったかな…大智も知ってるでしょ?私、あの頃からアイドルや俳優さんばっかり見てたし、だから実際に誰かを好きなるとかは…なかなか…ね』


『そう…だよな』


『それに、私みたいな地味な眼鏡に好きになられても、男の子達はみんな迷惑だろうしね』


本当に…そう。


大智以外の男子とは、あんまり話してなかったし…


大智とは、たまたまなぜか気が合ったから、女友達みたいな感覚で一緒にいられたんだ…


私は…


その頃は、誰かに恋することなんて出来ずに、完全に現実逃避してたんだと思う。