コンタクト、流れちゃうよ…


私は、必死で涙をこらえた。


『それで…亜希斗さんが俳優に…?』


『ああ。あいつみたいな良いやつの代わりになんか絶対なれないけど、あいつと一緒に…頑張りたいって思った。気づいたら、俺、オーディション受けてたんだ。たまたま、健さんに見つけてもらって…今、やっと…田上監督と仕事が出来るチャンスをもらった。俺は、章大と一緒に…田上監督の映画に出る』


そうだったんだ…


亜希斗さんの決意、痛いほど伝わって来た。


私なんか、何の役にも立たないかも知れないけど…


でも、章大さんを思う亜希斗さんを…


精一杯サポートしたいって、すごく思えた。


『大丈夫?』


『あ、だ、大丈夫ですよ』


『章大も、雅妃が俺のマネージャーで喜んでると思う』


そんな…


もう、ダメだ。


涙、抑えられない…


私は、車を脇に止めて…


しばらく、泣いた。


コンタクト、さっき着けたばっかりなのに…


もう、取れちゃったよ…


私の顔に、また、眼鏡が戻って来た。