『す、すみません。明日の準備もあるんで…先に休みます。あ、亜希斗さんも映画の台本…覚えるんですよね』


私は、かろうじて言葉を絞り出した。


『ああ…でも、もうほとんど覚えた。俺もお風呂入って休む』


亜希斗さん…


さっさとお風呂に行ってしまった。


笑顔もなかったし…


突き飛ばしたこと、怒らせちゃったかな…


でも…


あんな時ってどうすればよかったの?


あのままいたら…


顔をジーッと見られて…


それから…


キスされた…とか?


って、私、何考えてるのよ!!


バ、バカじゃないの?


亜希斗さんが、私なんかに…


私みたいな地味な女にキスする訳ないじゃない!


もうダメだ。


さっきからずっと無限ループにハマってる。


完全に…思考能力停止。


今日は、もう…早く寝よう。


何も考えずに温かいベッドの布団にくるまれて…


ゆっくり休んで、明日からまた…


亜希斗さんのために頑張らなきゃ。