『すまない』


『いや、いいよ。それは亜希斗の唯一のお願いだからな。他は全て対応してくれてるし。まあ、ただ、今回は…お前の意見が通るよう話しては見るけど、もしダメな場合は…覚悟してくれ』


『…ああ』


専務は、亜希斗さんを見て微笑んだ。


『あの…亜希斗さん、キスシーン…どうして断ってるんですか…?』


『…別に意味はない。したくないだけだ』


嘘…


キスシーンしたくない人なんているの?


今一緒に出てる女優さんなんて、すごく可愛いのに…


確かに、恋人同士の役なのに、ハグはあってもキスシーンは…1度も無い。


まさか、亜希斗さんが断ってたなんて、全然知らなかった…


『とにかく、亜希斗は、これからどんどん忙しくなるから、体調には十分気をつけてくれよ』


『そうだな、わかった』


『とにかく、本当に良かったよ。亜希斗の念願が叶って…さあ、今日はお祝いだな。ほら食べよう』


それから3人でしばらく食事しながら、いろいろな話をして…


そして、別れた。


なんだか…


久しぶりに楽しい夜だったな…