「そういえばさ、さっきこんなの見つけたんだけど……」

食事の途中、アーサーが机の上に何かを置いた。それを見た刹那、圭介は恥ずかしそうに顔を真っ赤にする。それは圭介が小学生の頃に書いた卒業文集だった。

「よ、読んだんですか?」

震える声で訊ねる圭介に対し、アーサーは「読んだ」とすぐに答える。その顔はニヤニヤしていた。

「お前、小さい頃から探偵になりたかったんだ〜。願いが叶ってよかったじゃ〜ん!」

「ああ、もう!恥ずかしい……」

圭介が両手で顔を覆い、アーサーはその様子を見て圭介をからかい始める。その時、ずっと黙々と食べていた蘭が口を開いた。

「何故、深森さんは探偵になりたいと思ったのですか?」

蘭の問いに圭介は驚きつつも、恥ずかしそうに教えてくれた。

「俺、探偵ものの漫画とか小さい頃から好きで、将来はこんな名探偵になって難事件を解決してみたいなって思ってたんです。親は「やりたいことをやれ」って感じの人だったんで、我が道を進んで探偵になれたんですよ」