「私……私は……」

蘭は部屋にいる一人ひとりを見つめる。その顔はいつもの無表情ではなく、真剣なものだ。

「私の仕事は、監察医です。生きている人の医者にはなれません。ですが救うことはできます」

蘭はそう言い、考えて浮かんだことを話す。碧子たちの目は驚きに見開かれた。

「本気なのか?危険が伴う可能性の方が高いんだぞ」

「桜木刑事に相談した方が……」

マルティンとアーサーは止めようとするが、蘭は「これがきっと最善の方法です」と言って聞かない。

「幼い子どもの命が奪われる……。それを一人でも防ぎたいのです」

蘭はそう言い、空の顔を見つめる。その顔は穏やかで幸せそうなものだった。