「60.59.58.57.56.55」
カウントダウンが聞こえてきた。あと50秒ほどで4時10分だ。

「急げ!」

火愛が叫んだ。私も火愛を追いかける。

はぁ、はぁ、
「疲れたー」
なんて、ボケでも言えない。楫會家では絶対に弱音を吐いてはいけない。
スパイたるものこれくらいのことができなくてどうする!と怒られる。


「それでは時間になりましたのでトレーニングを始める!」
お父さんの声が響く。

「礼!」

「お願いします!」
楫會家全員の声が響き渡った。