敬一には十五歳の頃から同い年の婚約者、北川(きたがわ)椿(つばき)ちゃんがいる。父親同士の交流があり、ふたりも頻繁に会っていたことから今では想い合う仲だ。
椿ちゃんはお嬢様という言葉がぴったりの愛らしい子で、私のことも慕ってくれている。
「そりゃそうだけど……。俺と姉さんとでは違うだろ?」
「ううん、違わないよ。敬一はお父さんの会社のために結婚するわけでしょ? 私も同じ。相手は取引先の人みたいだし」
そういえばどんな人だろう。私が結婚する相手は。
テーブルに目を向けると、敬一は素早く封筒を手に取った。
「信じられない! 自分の結婚相手を確認していないとか。いい? 姉さんの相手は、西連地弦! あの菓子メーカー、サイレンジの社長の息子だよ」
「サイレンジって……本当に?」
「あぁ、見てみろよ」
敬一は乱暴に封筒の中から写真を取り出し、私の目の前に差し出した。
「姉さんの結婚相手は、仕事人間で冷徹だと有名な西連地弦だ。いくら父さんに言われたからって、結婚する相手も確認せずに了承するとかあり得ない。だけどこれで結婚を考え直す気になったでしょ? あんな人と一緒になっても不幸になるだけ。そんな相手と姉さんを結婚させるわけにはいかないよ」
真剣な瞳で言う敬一に、温かな気持ちでいっぱいになる。
椿ちゃんはお嬢様という言葉がぴったりの愛らしい子で、私のことも慕ってくれている。
「そりゃそうだけど……。俺と姉さんとでは違うだろ?」
「ううん、違わないよ。敬一はお父さんの会社のために結婚するわけでしょ? 私も同じ。相手は取引先の人みたいだし」
そういえばどんな人だろう。私が結婚する相手は。
テーブルに目を向けると、敬一は素早く封筒を手に取った。
「信じられない! 自分の結婚相手を確認していないとか。いい? 姉さんの相手は、西連地弦! あの菓子メーカー、サイレンジの社長の息子だよ」
「サイレンジって……本当に?」
「あぁ、見てみろよ」
敬一は乱暴に封筒の中から写真を取り出し、私の目の前に差し出した。
「姉さんの結婚相手は、仕事人間で冷徹だと有名な西連地弦だ。いくら父さんに言われたからって、結婚する相手も確認せずに了承するとかあり得ない。だけどこれで結婚を考え直す気になったでしょ? あんな人と一緒になっても不幸になるだけ。そんな相手と姉さんを結婚させるわけにはいかないよ」
真剣な瞳で言う敬一に、温かな気持ちでいっぱいになる。



