政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~

「まだ冷めていないので、少し熱いですよ」

 一枚手に取って彼の口に運ぶと、パクッと頬張る。モグモグしながら「うまい」と言って顔を綻ばせたその姿が可愛くて胸がきゅんとした。

「未来も味見」

「私もですか?」

「うん。ほら、口開けて」

 そう言って口元にクッキーを持ってきた彼。恥ずかしさでいっぱいになりながらも口を開けると、クッキーを食べさせてくれた。

 ほどよい甘さに仕上がっていて、これならお茶うけによさそうだ。

 ごくんと飲み込むと、今度はシフォンケーキを食べさせてと言う。そして先ほど同様、私が食べさせると弦さんも私に食べさせてくれた。

 恥ずかしがる私を見るのがおもしろいのか、また食べさせようとしては笑う弦さん。

 なんだかまるで新婚夫婦のようなやり取りに、胸が熱くなる。

 私は会社での弦さんを知らない。社交の場で見かけた時は、冷たい印象を抱いた。
 もしかしたら会社でも噂で聞くように、クールなのかもしれない。

 でも今、目の前にいる彼は? 時折見せる笑顔は素敵で、とにかく優しい。冷徹だなんてとんでもない。

 私と一緒にいるときの弦さんが、本当の弦さんなのかな。もしそうなら、家ではリラックスしてもらえているのだろうか。