政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~

 やっぱり怒っているのだろうかと不安になっていると、彼は箸をテーブルの上に置き、真っ直ぐに私を見つめた。

「謝ってほしいわけじゃない。それに怒っていないから。……いつも感謝している。家のことをしてくれて。毎日おいしい料理を作ってくれてありがとう」

 毎日残さず食べてくれていたけれど、私が作った料理をおいしいと言ってくれたのは初めてだ。

「だけどたまには楽をしたっていい。俺もできる限り協力する。だからもっと家ではリラックスして過ごしてほしい」

 これはどういう気持ちで言ってくれたのかな。私があまりに弦さんの顔色ばかり窺っているから鬱陶しくて?
 わからない、弦さんがなにを考えているのか。

 だけど「はい」と答えれば、彼は再び箸を手にして食べ進めていく。

 弦さんは私のことをどう思っているのだろうか。一緒に暮らしているのに、彼の心が見えない。

 いや、私は知ってどうするつもり? 彼にどう思われていたいの?

 考えれば考えるほど頭がいっぱいになり、なかなかうどんが進まなかった。

 食べ終えると少し休んだ後に弦さんが先にお風呂に入り、私もすぐに入って出ると、珍しく彼は仕事をすることなくテレビを見ていた。