政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~

「悪いけど俺はデートだと思っているから。今日はずっと手を離さない」

「っ……」

 顔を上げた未来はなにか言いたいのに声が出ないのか、口をパクパクさせる。そんな姿も一々可愛いと思う俺は、相当未来に惹かれているのかもしれない。

「行くぞ」

 未来の手を掴んだまま入口ゲートへ向かってさっそく入場すると、さっきまでアタフタしていた未来は、落ち着かない様子で周囲を見回す。

「この前行った遊園地はここじゃなかったのか?」

「……はい、違うところでした」

 同じところに連れてこなくてよかった。

 繋いでいた手を一度離し、入場券を買った際にもらったパンフレットを開くと、未来も背伸びをして覗き込んできた。

「どれに乗りたい?」

「……いいんですか? 私が乗りたいものでも」

 恐る恐る聞いてきた未来に「あぁ」と言えば、また目をキラキラさせた。

「えっと、これに乗りたいです」

 未来が指差したのは、この遊園地で一番人気の絶叫マシン。怖いものは苦手そうだと思っていたから意外だ。

「わかった、なら急ごう」

 人気のアトラクションなら、すでに長い行列ができている可能性がある。

 再び未来の手を握って走り出す。さっきは握り返すことはなかったのに、未来は俺の手を強く掴んだ。

 相変わらず俺の一歩うしろにつく彼女を見れば、楽しみなのか頬が緩んでいる。

 その顔を見たら、今日は未来が乗りたいもの、見たいもの、食べたいものにすべて付き合おう。そう思った。