政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~

 周囲を見回すと、みんなそれぞれ食事を楽しんでいる。こちらを見ている人などいない。だったら……。

「えっと、どうぞ」

 一口サイズに切ったハンバーグを口に運ぶと、彼はパクッと食べた。

「うまいな、俺のも食べるか?」

 そう言って今度は弦さんが自分の分のハンバーグを切って、私に差し出した。

 どうしよう。すごく恥ずかしいんだけど、でも食べないといけない雰囲気だよね。

 羞恥心を押し殺して口に頬張る。すると自分が注文したハンバーグとはまた違い、おいしくて目を見開いた。

「おいしいです」

 私の話を聞き、弦さんは顔をクシャッとさせて笑った。

「だろ? また来たいな。叶夢が大きくなったら、絶対に三人で来よう」

「……はい!」

 このハンバーグ店だけじゃない。叶夢が大きくなったら三人で行きたいところがたくさんある。

 叶夢が大きくなった未来のことを想像しながら、弦さんとの食事を楽しんだ。

 店を出ると、再び手を繋いで施設内を見て回る。