「すまない、みっともない姿を見せて。……こんなに感動したのは生まれて初めてだよ。すごいな、命って。とても神秘的だった。ありがとう、未来。こんな瞬間に立ち会わせてくれて。俺、一生忘れないよ」

「弦さん……」

 よかった、弦さんが間に合ってくれて。一生に一度の経験をふたりで共有することができて、本当によかったよ。

「お疲れ様、未来」

「弦さんもお疲れ様でした」

 お互いを労うと、どちらからともなく笑ってしまう。

「お待たせしました。赤ちゃん抱いてあげてください」

 綺麗に身体を拭いてもらい、タオルにくるまれて来た赤ちゃんは気持ちよさそうにスヤスヤと眠っている。
 そっと助産師は私の胸の上に赤ちゃんを下ろした。

 ぬくもりを直に感じ、赤ちゃん独特の匂いが鼻を掠める。

「可愛いな」

「はい、とっても」

 ずっと会いたくてたまらなかった子が自分の腕の中にいる。それだけで胸がいっぱいだ。

「ふたりで大切に育てていこう」

「……はい!」

 その後、助産師に撮ってもらった写真に映る私たちの目はどっちも赤くて、後日写真を見て弦さんと笑ってしまった。

 この日のことをいつかこの子に伝えてあげたい。パパとママはあなたが生まれてきてくれたことに感動して、たくさん泣いちゃったんだよって。