政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~

 冷静に判断してお父さんに指示をすると、お母さんは私に目を向けた。

「未来、部屋へ案内して」

「は、はい」

 言われるがまま両親を部屋へ案内し、リビングに入るとまた陣痛に襲われる。

「楽な姿勢になりなさい」

 そう言ってお母さんは、ソファに横になった私の腰を優しく擦ってくれた。

「病院からは、初産だから陣痛の間隔が十分になったら来てくれだそうだ。それと弦君は今日中に戻ると言っていた」

「そうですか。未来、入院の準備はしてあるのかしら」

「はい、してあります」

「それなら大丈夫ね。あなた、タクシーの手配だけお願い」

「わかった」

 タクシー会社に電話をかけるお父さんに、ずっと私の腰を擦り続けてくれるお母さん。

 今、いったいなにが起こっているのだろうか。もしかして夢? それほど信じられないことだ。

 昔から冷たくて愛情を与えられてこなかった。それにこの前、私はふたりに親子の縁を切ってくださいとまで言ったのに。

「んっ……」

 だけどそれも襲われる陣痛の痛みによって、考える力を奪われていく。