政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~

「いや、今夜は一緒に入ろう」

「……えっ!?」

 思いがけない提案に一瞬フリーズしてしまう。

 困惑する私に弦さんは真面目な顔で言う。

「本で読んだ。お腹が大きいと髪や身体を洗うのも大変なんだろう?」

「たしかにそうですけど、でも……」

 髪も大変だけど、一番は足を洗うこと。お腹が大きいから屈めなくて一苦労する。しかしいくら一度だけ入ったことがあるといっても、妊娠してからは初めてだもの。ふたりで入るのは抵抗があるというか、恥ずかしい。

「遠慮することはない。むしろ今まで気づいてやれなくてすまなかった。これからは毎日一緒に入ろう」

「そんなっ……」

「ほら、行くぞ」

 手を左右に振ってやんわり拒否するが、けっきょく最後は弦さんに押し切られてしまった。



「意外とふたりで入っても狭さをあまり感じないな」

「そう、ですね」

 背後から湯船に浸かって気持ち良さそうに「ふう」と息を吐く弦さんに、心臓は壊れそうなほど速く動いている。