「私のためでしたら、申し訳ないです」
申し訳ないって本気で言っているのか? たしかに有名店でそれなりの価格だが、未来も社長令嬢であり、裕福な暮らしをしているはず。家族で頻繁にこういう店に訪れているのでは?
しかし未来を見ると落ち着かない様子で、表情も硬い。本当にこういう店にはあまり来たことがない? 樋口の娘なのに?
喉元まで出かかった言葉を飲み込む。それはあまりに不躾な質問だろう。家庭によってそれぞれだ。同じような暮らしをしているからといって、食生活もそうだとは限らない。
自分に言い聞かせ、いまだに不安げな彼女に言った。
「ここは行きつけの店で、結婚するとなれば未来も通うことになる。だから連れてきたまでだ。申し訳ないなどと言うな」
「……はい」
未来と一緒にいると調子が狂う。こうして会っても決して自分の意見を言わない。
どこに行きたいか、なにか欲しいものはないか、なにが食べたいか。そう聞いても行き先は俺に任せる、欲しいものなどない、俺が食べたいものでいいと言う。
これまで出会ってきた女性たちは自分の意見を主張し、ありとあらゆるものをねだってきたというのに。
あまり感情を表に出さず、仕方なしに俺と会っているようにも見える。一緒に歩くときは、決まって俺の半歩後ろ。だからだろうか。
申し訳ないって本気で言っているのか? たしかに有名店でそれなりの価格だが、未来も社長令嬢であり、裕福な暮らしをしているはず。家族で頻繁にこういう店に訪れているのでは?
しかし未来を見ると落ち着かない様子で、表情も硬い。本当にこういう店にはあまり来たことがない? 樋口の娘なのに?
喉元まで出かかった言葉を飲み込む。それはあまりに不躾な質問だろう。家庭によってそれぞれだ。同じような暮らしをしているからといって、食生活もそうだとは限らない。
自分に言い聞かせ、いまだに不安げな彼女に言った。
「ここは行きつけの店で、結婚するとなれば未来も通うことになる。だから連れてきたまでだ。申し訳ないなどと言うな」
「……はい」
未来と一緒にいると調子が狂う。こうして会っても決して自分の意見を言わない。
どこに行きたいか、なにか欲しいものはないか、なにが食べたいか。そう聞いても行き先は俺に任せる、欲しいものなどない、俺が食べたいものでいいと言う。
これまで出会ってきた女性たちは自分の意見を主張し、ありとあらゆるものをねだってきたというのに。
あまり感情を表に出さず、仕方なしに俺と会っているようにも見える。一緒に歩くときは、決まって俺の半歩後ろ。だからだろうか。



