結婚して、やっと私は家族に愛される喜びと幸せを知ることができた。

 お父さんとお母さんが私を憎むほど嫌っているなら、縁を切ったほうがお互いのためなんだ。

「弦さん、今日は本当にありがとうございました。……両親に言ってくれた言葉、とても嬉しかったです」

 敬一が懐いちゃうのも頷ける。だって今日の弦さん、カッコよかったもの。

 彼が言ってくれた言葉を思い出していると、弦さんは私を抱きしめる腕の力を弱めた。

「今日はよく頑張ったな。……いや、これまでよく耐えてきた。つらい思いをした分、俺と一緒に幸せになろう」

 私も幸せになりたい。大好きな弦さんとともに。

「はい」

 返事をしてギュッと彼にしがみつく。

 大好きな人の腕の中は安心できて、幸せな場所。でもどうしても今日、お母さんに言われた言葉と、向けられた憎しみの眼差しが忘れられず、少しだけ胸が痛かった。