政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~

 私から伝えさせてくださいと言った手前、きっと弦さんも困っているよね。

「いいか、未来。なんとしてもサイレンジの跡取りとなる男児を産むんだ」

 圧力をかけられ、肩がすくむ。

「おい、父さんそれはないだろ!」

「お言葉ですが、お義父さん……っ」

 声を荒らげた敬一に続き、弦さんが言いかけた時、彼のスマホが鳴った。だけど弦さんは電話に出ようとしない。

「弦君、仕事の電話じゃないのか? 私たちに気を遣うことはない、出たほうがいい」

「しかし……」

 言葉を濁した彼を見ると目が合う。すると弦さんは心配そうに眉尻を下げた。

 その間も電話は鳴り続けている。お父さんの言う通り仕事の電話だろう。

 これ以上彼に迷惑をかけたくない。その思いで私は精いっぱい笑顔を取り繕った。

「弦さん、電話に出てきてください」

 ここで私が「行かないで」なんて言ったら、火に油を注ぐようなもの。両親は「なにを言ってる」と、激怒するに違いない。