洗面所の鏡に映った自分の頬は赤く染まっている。

「やだな、もう」

 この顔を弦さんに見られたってことでしょ? すごく恥ずかしい。

 そして首元に光るピンクダイヤモンドのネックレス。これは彼が出張のお土産に買ってきてくれたもの。

 デザインも可愛いし、弦さんが私に似合うと選んでくれた。もらってから毎日肌身離さず付けていて、鏡を見るたびに嬉しくてニヤけてしまう。

 それから前髪を上げてぬるま湯で顔を洗うと、少しは火照りがとれた。もう大丈夫かな?

 戻るとテーブルの上にはトーストにサラダ、目玉焼き、珈琲といった料理が並べられていた。

「悪いな、簡単なものしか用意できず」

「いいえ、充分です。ありがとございます」

 お礼を言うと弦さんは嬉しそうに目を細めた。

 私が弦さんに「ありがとう」と言われたら嬉しいように、彼もそうなのかな?

 そう思うと私も頬が緩む。