政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~

「未来、大丈夫か?」

 トイレの前でそっと声をかけるが、返事が返ってこない。

 さっきまでは普通だった。それなのに今は戻しているようだし、もしかしてなにかの病気なのか?
 と、とにかく水を持ってきたほうがいいよな。

 動揺しながらもキッチンへ向かい、コップに水を注いで戻ると、ちょうど未来が青ざめた顔でトイレから出てきた。

「大丈夫か? とにかくうがいを」

「ありがとうございます」

 俺からコップを受け取ると、洗面所へ向かう未来が心配で俺も後をついていく。

「落ち着いたか?」

「はい、急にすみませんでした」

 彼女の身体を支えてリビングに入ると、並んでソファに腰かける。すると未来はチラッと俺の様子を窺う。

「あの、弦さん。お話したいことがあるんです」

 改まって言われると、身体中に緊張がはしる。俺が出張中に病気が見つかった?

「どうした?」

 声をかけると未来はゆっくりと立ち上がり、リビングにある引き出しからなにかを手にし、それを背に隠して戻ってきた。