政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~

「ちょっと待って。私が妊娠なんて……」

 そこまで言いかけて言葉に詰まる。だって妊娠している可能性は充分あるから。

 結婚してから弦さんと子供を授かる行為をたくさんしてきた。避妊をせずにしたこともある。妊娠しないほうがおかしいのかもしれない。
 それに生理も少し遅れている。……だけど本当にいるの? 私の中に赤ちゃんが。

 おもむろに自分のお腹を撫でてしまう。

「弦さんが戻ってくるまでまだ一週間以上あるんでしょ? こういうことは早くにわかったほうがいいし、妊娠していなかったら未来の言う通り内科を受診しないと」

「そう、だよね」

 もし本当に妊娠していたら、私はどんな気持ちになるのだろう。日常がどう変わる? ……弦さんは、どう思う?

 まだなにもわからないというのに、様々なことが頭に浮かんでは不安になる。それに気づいたのか、美香が私の手をギュッと握った。

「大丈夫、私もいるでしょ?」

 美香は私を安心させるように笑顔で言う。彼女の優しさに少しだけ不安な気持ちが薄れていく。