「え?絵が完成したの!?新作だー!見たい見たいっ」
本当ならば帰宅してから見せたかったが、自分も我慢出来なくなっていた黒夜は、仕事が終わったばかりの姫白を作業場に招き入れた。
作品が完成した、と伝えるとまだ見せてもいないのに彼女はとび跳ねて喜んだ。そういう所が堪らなくかわいいと思ってしまう。
出来上がったばかりの作品。
先程布を掛けたもの取りだし、彼女に差し出す。
たった1枚の紙。
それに、向かって何にも座り込んで筆を走らせた。楽しみながら、悩みながら、そして思わず微笑みをこぼしながら描き続けた絵。
それを彼女の手に渡す。
この瞬間は緊張するが、黒夜は自信があった。彼女が喜んでくれると。
絶対に笑ってくれる。
「………っ…あ、りがとう……すごく嬉しい………」
予想通り彼女は笑ってくれていた。
けれど、それと同時に目からは大粒の滴が落ちていた。
「姫白、泣くなよ……」
「だって、これは嬉しすぎるよ。風景画しか描かないって……」
「約束しただろ?それに、初めての人物画のモデルはおまえが良かったんだ」



