「まぁ……そう言われても仕方がない事はしたな」


 少しの間の後に、桜門はそう言った。
 その言葉に、文月の感情は一気に怒りに変わった。やはり祖母は妙な力のせいで、自分の変わりに死んだのだ、と。


 「どうして……どうしてっ!?何故、そんな事をしたのっっ?」


 きっと年上の人なのだろう?嫌、そんな事はどうでもいい。
 大切な人な人が死んでしまった原因が目の前の男なのだと、思ったらもう言葉は止まらなかった。
 怒りが高まりすぎると涙が出るものなのだと、その時文月は初めて知った。
 ボロボロと涙を流す文月はそのままキッと文月を睨み付けた。けれど、彼の表情は変わらず、優しく微笑むだけだった。


 「みき子が望んだから。彼女の1番の願いだったからだ」


 そう言った、彼の表情は変わらない。
 けれど、声音だけはとても悲しげだった。

 それを耳にした文月は、声を上げて泣きじゃくり、頭を下げて泣き続けた。
 そんな文月を、桜門はただただ見つめ、それが終わるまで傍に居てくれたのだった。