24話「同じは幸せ」




ツボミとの日々は、穏やかでもあり刺激的だった。

 「ツボミ。………1つ聞きたいんだけど、このコーヒーには何を入れた?」
 「白銀は、辛い食べ物が好きだと聞いたので、唐辛子を入れてみました。美味しかったですか?」
 「ごめん。………おいしくなかった」
 「そうでしたか。残念です」


 辛味があるコーヒーを何とか飲み終えた後に、ツボミに報告をすると、彼女はシュンとした表情になった。けれど、白銀からコーヒーカップを受け取ったツボミは空になったコーヒーを見て、目を大きくした。


 「白銀、そのおいしくないコーヒーを飲んだんですか?」
 「ツボミが作ってくれたからな」
 「………白銀は変わっていると言われませんか?」
 「言われまくるよ」
 「ふふふ……おもしろいですね」


 先程まで悲しんでいたツボミは、クスクスと楽しそうに笑う。
 ロボットの事ばかりを考えて生きてきた白銀。花のように笑う彼女に、ドキドキしてしまうのは仕方がない事だった。しかも、自分が作ったドールだ。容姿も自分好みであるし、正確だって他の世界を知らない素直さがある。自分だけをマスターと慕い、信頼をしてくれるのだ。
 白銀にとって、ツボミはとても大きな存在となった。