夜空を見上げて、君を想う。




「……大丈夫?」

「うん……っ」



堀田と春日の声が聞こえる。

堀田は声を聞く限りまた泣いているようで、朝の時よりも辛そうだった。



「ごめんっ…ね?毎日…」


「平気だよ。昨日もゆうさんとのりこさん言い合ってたの?」


「ん…ぅっ…ぐっ」


「そっか…。」



ゆうさん?
のりこさん?
言い合う…?


俺にはわからない名前にさらに謎が深まるが、両親のことだろうか。

堀田の両親には何度か会ったことはあるが、さすがに名前までは知らない。








でも、一つわかるのは堀田がとても辛そうだということ。







それから会話は続かなくなり、堀田は静かに泣き続け、春日は隣で堀田を見守るように絵を描いているようだった。



「…どうするか。」



とりあえず今日は諦め、帰ろうと鞄をかけ直そうとした時。




ガタッ





やってしまった。


思いきり鞄が扉にぶつかり、大きな音を立てる。



恐らく、春日がこちらに向かってくることを察するが仕方ないので俺はそのまま扉が開くのを待つ。