「…実は、見たんだよね。たまたまだけど…。中学生一年生の頃に月斗と千星が初めて会話したであろう瞬間。」
「え、あの時の…」
驚いた。
人気のない、放課後の夕日が差し込んだ廊下に春日がいたなんて。
「なになに俺それ知らん。」
それはそうだろう。
俺にとって堀田との出会いが特別だったことは誰も知らない。
堀田でさえもう記憶にないのだから。
「あの日、一緒に帰る約束をしてたから千星を迎えに行こうとしてたんだ。」
春日の話と共に、頭の中で何回も思い出していた記憶がいつもより鮮明に蘇っていた。
「廊下を曲がろうとした瞬間に千星の話し声が聞こえてすぐに声をかけようと思ったんだけど」
「…これホラー話じゃないよな?」
「え、うん。月斗と千星の出会いの話。」
雰囲気をぶち壊す颯の言葉に俺はズッコケそうだったが春日の言い方もどうなのかと思い、今更ながら気恥ずかしさが湧いてくる。
「…この話やめねぇ?」
「え、ダメだよ。」
「そうだよ!俺が聞きたい!」
「いや恥ずかしさで死ぬ。」
早く続けろよ、とそもそもの原因は自分だったのをすっかり忘れている颯は春日に話の続きを急かす。
本当にやめてくれ。
