夜空を見上げて、君を想う。


ガチャ


「あら、随分と長かったわね。」


「ん。」



タイミングを見計らってリビングのドアを開け、母さんの言葉に短く返事をする。





「月斗、次の休みどこ行きたい?」



さっきの話題はまだ終わらないらしく、母さんは俺がなんて答えるかわかってて質問をしてくる。


「どこでもいいよ。」


「でた、月斗のなんでもいい!」


「年頃の息子をもつと本当に困るなあ。」



「ねー」とか言いいながら顔を合わせて俺の接し方に文句を言う二人。




本当に、なぜこんなに仲が良いのだろう。


頭をタオルで拭きながら二人をそっと見つめる。


「……父さんと母さんってなんでそんなに仲良いんだよ。」


ポロッと思わず気持ちが言葉になった。


「…どうしたんだ、急に。」




「…なんでもない。」


俺は最近、思ったことをすぐに口にするようになったことを酷く痛感し心の底から反省し悔やんだ。



「ふふ、月斗!こっち座りなさい。」



急な発言に二人はキョトンとした顔をしたが母はそう声をかけ、なんとなく俺は大人しく母さんが指定した父さんの隣の席に座った。





















「お母さんね、お父さんのこと尊敬してるの。」


座り始めて少し間を置いてから母さんが話を始める。



「…ん?」




俺は思わず素っ頓狂な声をだしてしまい、隣にいる父をチラッと見ると優しい顔で母さんを見ていた。


少しだけ、しっかり聞こうと気持ちが前向きになってまだ続くであろう母さんの言葉に耳を傾ける。





「月斗も知ってると思うけど、お父さんはとても人想いで仕事に真面目に誠実に取り組んで、道を聞かれたら一緒に着いて行っちゃうくらいお人好しでね…お母さんはそういうお父さんの優しさを尊敬してるの。」




「…尊敬」



「そうよ。結婚したらね、もう“彼氏彼女”じゃなくて“夫婦”になるでしょ?一緒にいるのが「当たり前」になっていくから、好きや嫌いで測れなくなってしまうの。」



母さんの言っていることはわかるが、今日の出来事を思い出して素直に思っていることを言う。




「でも、嫌になったら離婚とかするじゃん。」












「そうだなぁ…」







そこでようやく父さんが口を開いた。